胸・腰椎疾患について

胸・腰椎疾患
胸・腰椎疾患

胸椎(きょうつい)疾患とは?

胸椎には肋骨とつながる関節があります

首から腰の下まで続く脊柱(背骨)は、小さな椎骨(ついこつ)が積み重なってできています。胸椎は頚椎と腰椎の間にあり、12個の椎骨が椎間板(ついかんばん・椎骨と椎骨の間でクッションの役割を担っている軟骨)をはさんで並んでいます。胸椎の特徴は、肋骨とつながる関節があることです。

椎骨の中心には椎孔(ついこう)という穴があいていて、それが、並んでトンネル状になっています。これは脊柱管(せきちゅうかん)と呼ばれ、これが、脳から続いている脊髄(せきずい)の通路になっているのです。脊髄やそこから枝分かれする神経は、背骨の部分で大切に守られているのですが、加齢にともなう変性などにより、神経の通るスペースが狭められ、圧迫されたりすることによって問題が発生します。加齢による変性で生じる問題は、頸椎、胸椎、腰椎でも、基本的には同じです。

胸部の疾患にはどんなものがある?

胸椎圧迫骨折

脊椎での圧迫骨折は、椎骨の椎体と呼ばれる部分が押しつぶされます。骨折する場所で多いのは、第11胸椎から第2腰椎です。圧迫骨折の原因でもっとも多いのが、高齢者の骨粗鬆症(こつそしょうしょう)です。骨粗鬆症が進むと、しりもちをついた程度で骨折することがあります。特に高齢の女性は注意が必要です。若年者でも事故や腫瘍などが原因で胸椎圧迫骨折が起こることがありますが、それほど多くはありません。

胸椎圧迫骨折

骨粗鬆症が原因となる胸椎圧迫骨折の症状は、痛みが背部や腰部に発生します。骨折した椎体の破片が脊柱管内に入り込み神経を圧迫すると、下肢のしびれや痛み、麻痺などの症状が現れます。圧迫骨折は予防が重要です。若いうちから骨粗鬆症にならないための食事と運動、年をとったら転倒などしないような注意が必要です。

黄色靭帯骨化症(おうしょくじんたいこっかしょう)

黄色靭帯は、脊髄の後ろにある椎弓と呼ばれる部分を上下につないでいる靭帯です。名前のとおり黄色い色をしています。黄色靭帯骨化症はこの黄色靭帯が骨化して脊柱管内の脊髄を圧迫して症状が現れます。発生する原因はよくわかっていません。胸椎の下位に発生することが多く、後縦靭帯骨化(こうじゅうじんたいこっか)を伴う場合もあります。下肢の脱力感やしびれ、痛みなどがあり、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)と同様の症状が現れます。症状が軽い場合は、消炎鎮痛剤などで保存療法が行われますが、転倒などでも脊髄を損傷しやすい状況になっていますので注意が必要です。神経症状が強い場合は手術が必要です。

黄色靭帯骨化症

腰椎(ようつい)疾患とは?

人の8割が腰痛を経験する

腰椎は、上体を支え、また動くようになっており、体の重さや腰の動きによる衝撃が一番かかる場所です。一生涯に人類の8割の人が腰痛を経験すると言われ、整形外科の初診患者では、最も多い訴えがこの腰痛という症状です。腰痛には様々な原因があり、内臓疾患、婦人科系疾患、血管性疾患でも起こりますが、脊椎に原因がある、脊椎性腰痛は臨床上特に注意が必要です。一般にぎっくり腰と言われる急性腰痛症、加齢変化が原因で起こる腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などの頻度が高い傾向にあります。

腰部の疾患にはどんなものがある?

腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア

椎間板は、椎体同士の間にあり、水分を多く含んだゼリー状の髄核(ずいかく)とそれを取り囲む丈夫な線維輪とから構成された、いわばクッションの役目を担っています。腰部の椎間板は、前かがみになった時、約300kgの力がかかるとされており、ふだんから大きな負担がかかっている部位です。この椎間板に変性が起き、一部に亀裂が生じると、その亀裂を通って髄核が外側に突出し、椎間板の一部あるいは全部が膨隆し、場合によっては髄核が線維輪を破って突出します。この状態が、椎間板ヘルニアです。

腰椎椎間板

椎間板ヘルニアは、激しい運動や加齢が原因で起きてきます。突出した椎間板によって、その周辺の神経が刺激され、腰痛が起こります。さらに突出が進むと、神経根が圧迫され下肢の痛みや下肢のしびれ、さらには運動障害や知覚障害も生じてきます。しかし60歳以下の約2割に、無症状のヘルニアがあると言われ、注意が必要です。

腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

腰部脊柱管狭窄症腰椎内部の神経の通路である脊柱管が狭くなることにより、神経組織が圧迫されることで症状が現れる病気です。医学的には異なる様々な病態を含む疾患群です。主な原因は、加齢による変化によることが最も多く、一般的に日本では脊椎の変性や変性すべり症によって起こる「変性脊柱管狭窄症」のことを指します。特徴的な症状は「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。間欠性跛行とは、歩き始めはとくに症状が強いわけではないのですが、しばらく歩くと脚が痛くなったり、しびれたり、こわばったりして歩くことができなくなる状態をいいます。しゃがんだり座ったりすると症状はすぐになくなり、また歩いたり立ったりできるのが特徴です。立つと柱管が狭くなり神経を圧迫するために症状が起きてきます。進行すると、歩ける距離が短くなり、重症になると5分程度立つだけでも症状が出たりします。さらに、徐々に下腿の筋肉が萎縮し、永続的な歩行障害が起きることもあり注意を要します。

腰椎分離すべり症・腰椎変性すべり症

腰椎すべり症は推骨が前方にずれた状態で、腰椎分離すべり症と腰椎変性すべり症があります。腰椎の椎間板のついている前方部分は椎体(ついたい)、後方の椎間関節のついている部分は椎弓(ついきゅう)と呼ばれます。椎体と椎弓の間には椎弓根(ついきゅうこん)があります。椎弓の部分で骨の連続性が断たれてしまい、椎体と椎弓が離れてしまった状態を「腰椎分離症」といいます。分離症のなかで、後方部分の支持性がないため椎体が前方にずれてくるものを「分離すべり症」と呼びます。すべり症は脊椎同士がずれた状態を指しますが、椎間板の老化による不安定性が原因でずれたものを「変性すべり症」と呼びます。

腰椎分離すべり症・腰椎変性すべり症すべり症は、腰痛が主な症状ですが,坐骨神経痛や間欠性跛行の症状が現われることがあります。腰部や殿部が重苦しい・だるいような痛みで,痛みは激しい運動や作業後に現われますが、安静にしていると軽減することが多いようです。

 

変性側彎症

側彎症は、正面あるいは背面から見たとき、背骨が左右に曲がっている病気です。椎間板ヘルニアなどによる坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)や、脚の長さが左右で異なることが原因で起こる「機能性側弯症」と、背骨自体に原因のある「構築性側弯症」の2つに大きく分類されます。「構築性側弯症」に含まれる変性側弯症は、椎間板の変性などの加齢変化に伴い起こってくるもので、高齢者に起こりやすい症状です。

変性側彎症